2021年08月20日

エシカル消費とは


エシカル消費という言葉にあまり馴染みがない方でも

時々商品についている『エコマーク』という【認証ラベル】を

見たことがある方は多いのではないかなと思います。

エコマークとはエシカル消費のひとつで

『環境への負荷が少なく、環境保全に役立つと認められた商品に付けられるマーク』です。


このようにエシカル消費とは

倫理的に考えて正しいとされることを基準として購入する商品を選ぶことです。

『人と社会、地球環境、地域のことを考慮して作られたモノ』を購入・消費するということ

でもあります。


認証ラベルには他に

『国際フェアトレード認証ラベル』というものもあります。

これは生産者の生活を守り、自然保護にも配慮して生産された商品にらつけられるラベル』

です。


認証に必要な具体的基準として


【経済的基準】

*フェアトレード最低価格の保証

*フェアトレードプレミアムの支払い

*長期的な取引の促進

*必要に応じた前払いの保証  など


【社会的基準】

*安全な労働環境

*民主的な運営

*差別の禁止

*児童労働・強制労働の禁止  など


【環境的基準】

*農薬・薬品の使用削減と適正使用

*有機栽培の奨励

*土壌・水源・生物多様性の保全

*遺伝子組み換え品の禁止   など


国際フェアトレード基準では

生産に必要なコストをまかなったうえで

経済的・社会的・環境的に持続可能な生産と生活を支えるフェアトレード最低価格が

各生産地の物価、経済状況、需要側の意見、などをもとに綿密かつ公正に調査・判断され

産品や地域ごとに細かく設定されています。


また、生産地域の社会発展のため

『フェアトレードプレミアム(奨励金)』が生産者に保証されます。


上記の文面をみるとなんとなく遠くの開発途上国のことと感じることがあるかもしれません。


しかしこの問題は身近なところにあります。

私たちが比較的身近に感じられるケースとして今年、日本企業『ユニクロ』の綿製品が

アメリカで輸入禁止となり、イギリスやフランスで告発されたり

ボイコットされている事例です。


これは綿花の産地新疆ウイグル自治区内でイスラム系少数民族が

強制労働や職業訓練施設と呼ばれる施設への収容、児童労働などの人権侵害が

行われていることが問題とされているからです。


ユニクロを運営するファーストリテイリング社はウズベキスタンでの強制労働に対し

充分な対策を打ち出していますし、サステナブルなコットンの生産にも力を入れている企業

です。

それにも関わらずこういったことが起こるということは

『責任ある原材料調達』を仕入れ先に一任せずグループ全体で目まぐるしく変化する世界情勢を

常に見守り管理する必要があるということです。



また

FSC認証』という基準もあります。

これは

[適切に管理された森林からの木材や、的確だと認められたリサイクル資源から作られた製品]

につけられるものです。



木材が必要、と森林を植栽計画や土壌管理をせず伐採することは

風水害時に大きな土砂災害が起こる原因になり

森林の保水力由来の水源を枯渇させ、水不足の原因になります。


またゴミは燃やしたり埋めたりするものというその時限りのコストだけを考える旧来のやり方が

地球環境の悪化を招いているとあきらかになり、資源の再利用が推進されてきました。


これらは地球環境悪化のはやさが予想を超えて加速するため国際的な条約などで

規定・規制されることも多くなりましたし、


他国と直接の取り決めを行うことだけではなく単一の国や欧州連合などの単位で

輸入品の構成や生産の際の環境負荷率など事実上関税の割増などを行い

環境への負荷を低減させようという試みも取り入れられています。


 こう述べていくと難しく感じますが

毎日の生活で取り入れて行けることは

輸送に必要なガソリン消費やCO2の排出を抑えるため、住んでいる場所の近くで生産されている

農作物や水産物を生産者さんが持ち寄って販売するような場所で購入する

(例えば淡路島では東浦のフローラルアイランドさんや イングランドの丘隣の美菜恋来屋さんなどです)



国外から輸入する原料や産品は

その原産地近くの民族や女性、こどもが学校に行かせてもらえずに

強制的に労働させられ搾取されるといった人権侵害を強いて生産されているものではないか?

いつ、どこで、どうやって作られたものなのか?

作る人にきちんと対価を支払っているのか?

安ければ安いほどいいと考えて、木や草、水、大気など

環境保持を考えずに資源を消費してはいないか?

使用後の廃棄物は充分に処理されているのか?

自分の生活が生産から不要物処理までひと続きであることを意識して

購入し、消費し、処理する。


SDGsの目標12は『つくる責任、つかう責任』エシカル消費はここに関わっています。

また産地に対して目標1『貧困をなくそう』

目標10『人や国の不平等をなくそう』を推進できます。


自分たちの世代だけではなく、

こどもたちやその先に続く人たちのことを考えた消費行動を心がけたいです。


SDGsや環境問題と口に出すと

やや揶揄気味に 意識高いのね、とか

じゃああなたの行動のこういうところは全然できていないよね、

などと言われてしまうこともあります。


全ての問題点をクリアするかゼロかといった極論ではなく

自分が取り組みやすいところから少しずつ

ほんとうに些細と思えることでも行動してみることが大切だと思います。


少しの行動でもするとしないでは大きく違います。




当社としても電力源を太陽光発電にシフトしたり

夜間の電力使用を抑えるためサマータイムを検討するなど

いろいろな方法や問題点を多面的に捉え

当社製品をいかに環境負荷を少なく製造するかということを検討してゆきたいと思います。


2021年08月17日

それはSDGsウォッシュでは無いのかの問い

SDGsに取り組むことが企業として世間や取引先からの信頼、評価や付加価値を上げる

重要な要素となっています。


おとなが読み聞かせをするくらいの小さなお子さん向け絵本にも

SDGsがやさしく、わかりやすく取り入れられています。

義務教育でも既存の科目にSDGsに沿った内容が盛り込まれています。


企業についてもカーボンニュートラルやSDGsにどれくらい取り組んでいるかということが

同業他社の中で[選ばれるための大きな要素]となっています。


そこで我々もその業務に関連深く、取り組めるSDGsとは何かを考え

行動してゆく必要があります。


ここで注意をしなければならないのは『SDGsウォッシュ』です。

SDGsウォッシュとは目指す17の目標に取り組んでいるように見えて(見せかけて)行う内容が

別の側面からみて不都合なものであるにも関わらずその内容を推し進め

SDGsに取り組む企業』という表面だけのプレートを掲げてSDGsに取り組む企業に向けた

メリットだけを受けようとすることです。


これが悪意を持って意図したものでなくてもSDGsを深く理解し、俯瞰して考えることが

できなければ一面的でご都合主義、自分勝手な内容になります。


充分な理解ができていないまま、不十分な取り組みや間違った内容の取り組みを

行ってしまったことで 『SDGsウォッシュをする企業』というダークなイメージがつき、

取引先からも敬遠されるという事例も実際におこっています。


これからの企業経営は自社の利益を追求したり今までの価値観の社会貢献をすることだけでなく

従来よりコストが嵩んでも自然環境や社会に配慮した『サステナブル』な材料利用や

CO2排出を抑えた製造方法を採択するなど環境負荷低減に取り組む姿勢が重要であるとされています。

2021年08月16日

天候デリバティブについて

この週末の線状降水帯による風水害や最近の台風は

以前と比べて程度や規模が大きくなってきていると感じます。



旧来の金融商品から派生した新しい金融商品の一部ををデリバティブと呼びますが

その中で【天候デリバティブ】という商品が出ています。

これは天候により大きく収益が左右されたり経費が増大すると想定される業種や業界の企業が

天候による損失に備えて予め売買しておく商品です。


猛暑、冷夏、大型台風などの天候やそれに起因する風水害や地震などの

災害リスクを抑制できる商品です。

猛暑で需要が減る産業(ガス産業、医療.医薬品、テーマパーク、衣類等)

需要が増える業界(ビール、エアコン、電力、外食、日焼け止めなど)利益が相反するものを

ストライク値(基準値)により互いに補填しあう契約という内容の商品です。

これは工業やサービスのみでなく冷夏や長雨による農作物の収穫量低下や

暖冬によるスキー場の閉鎖など様々な分野でおこる事象を大きく含み

収益が天候に大きく左右される事業のリスクマネジメントのひとつです。


地球温暖化への根本的対策ももちろん怠ることなく推進してゆくことが

喫緊の課題ではありますが

企業の安定を守るためにも必要なリスクマネジメントといえます。


ミニメモ:

これは江戸時代の米商人が飢饉や災害でおこる米相場の変動リスクに備えたことが

起源ともいわれています。

2021年07月05日

SDGsについて(1回目)

業界の動向や経済・環境対策、国際情勢など

当社を取り巻く環境の目まぐるしい変化に対応するためSDGsやカーボンニュートラルシフト、

オープンイノベーション、コ・クリエーションなどについてハイパーコンペティションを

意識しながら未来ニーズを模索してゆきたいと思います。


7月3日、熱海の伊豆山で豪雨による土石流が発生しました。

7月5日現在も被害の人数など被害の把握が困難ということです。

被害を受けられた方には謹んでお見舞いを申し上げます。


SDGsってなんだろう?と17の目標を読んでも具体的に自分たちはどんな関りがあるのか

なんとなくピンときませんが

日々起こる出来事や身近な事象に置き換えてみると実感しやすくなると思います。




日本の国土は平野やそこをゆったりと流れる水量豊富な大きな河川の割合が少ないです。

そういった場所は水を確保しやすく開墾も容易、移動の便も良いので人気があり、

歴史上しばしば係争の種となってきました。

そうでない土地に住むには工夫や努力が必要でした。



当社は淡路島に本社があります。その淡路島のことについて調べてみました。



〈淡路島には多数のため池がある〉ということは島外の方にはあまり知られていません。

大小合わせるとその数は2万3000か所にも上ります。

これは兵庫県のため池の約6割、さらには全国のため池すべての約1割を占めます。


理由の一つは温暖な瀬戸内式気候ということが挙げられます。海を挟んでそこに見えている

大阪府と比較しても本当に雨が少ないなと感じます。特に夕立の少なさに驚きます。

もう一つは大きな河川がないということです。

(一級水系は存在せず、二級水系として諭鶴羽山地を水源とする三原川、洲本川があります。

これらの河川は流域面積が比較的大きく、貯水の機能を持つダムとして成相・北富士ダム、

大日・牛内ダム、本庄川ダム、猪ノ鼻ダム、竹原ダム、鮎屋川ダムなどがあります。)

ため池の数が多くなる最後の理由は特に今の淡路市において細い谷筋が入り組んだ急峻な

山間地が多いため、大きなため池の築造が困難なため谷筋をせき止めて必要な場所に

小さなため池(谷池)が数多く築造されたためです。


SDGsに 06【安全な水とトイレを世界中に】という目標があります。

これはなんとなく字面を眺めるとどこか遠くの砂漠地帯のことの様に思えるかもしれません。

でもこの項目はいま私たちが住んでいる日本の国で対策が必要とされている問題を含んでいます。

日本の中でも大きな平野に大きな河川を持つ地域と淡路島、特に北部では水の確保に対する

意識が大きく違います。

淡路島では大きな河川も貯水用のダムも少なく水不足で水道料金もかなり高めです。

1998年の明石海峡開通で本土導水となるまで渇水が多く、

平成6年には299日間も給水制限が続いたそうです。

水量が確保されても水質は浅井戸や表層水ではクリプトスポリジウム指標菌、

深井戸では鉄やマンガン、フッ素などが高濃度化、

ダム湖では富栄養化など原水水質は悪化の傾向をたどっているそうです。

安全に飲める水の確保は年々難しくなっています。


治山治水の面からみても

平成16年台風23号では諭鶴羽水源の洲本川水系が氾濫し島内ため池181か所が決壊。

これを教訓に台風や豪雨の前にあらかじめ、ため池の水位を下げておくことで

貯水力をあげて治水をおこなっています。

この治水取組により平成2610月台風19号では平成16年の台風より降雨量、

時間ともに観測史上最大量であったが、ため池の水量を事前に下げ

治水容量を高め洪水被害を軽減、農業被害も8分の1程度に抑えることができたそうです。


各市で内水氾濫(降雨が下水道や水路で処理しきれず溢れるもの)や

外水氾濫(河川の堤防が決壊などして河川よりあふれ出るもの)や

それらにより発生すると予測される土砂災害の恐れがある場所を地図で示した

ハザードマップが作成されています。


管理されたため池ではこうして治水が行われていますが

離農などで管理者が不在となるなど十分な維持管理がなされないため池は

予報できない豪雨などで堤体が決壊しやすく周囲にダメージを与える可能性があります。

これはSDGsの目標11【住み続けられるまちづくりを】にもリンクしてゆく内容です。


このようにSDGs目標を自分たちの住む町に置き換え考えて実感してみると

世界の状況にも想像力を働かせることができてゆくように思います。

少しずつ、想像の輪をひろげて行けたらいいなと思います。